華厳の滝
中禅寺湖の水が97メートルの断崖を一気に落ちる、日本三名瀑の一つ。エレベーターで降りる観瀑台から見上げる滝は圧倒的で、日光観光の中心であり続けてきた。一方でこの滝は、明治の昔にある学生が悲観の言葉を残してこの地で命を絶って以来、悲しい出来事が語られてきた場所としても知られ、滝にまつわる噂が絶えない。 語られるのは、滝壺の周辺に人影が見えた、岩肌に人の顔のようなものが浮かんで見えた、観瀑台で滝を見ていると呼ばれるような感覚がした、といったもの。水量の多い滝は飛沫と陰影が複雑に変化し、人の顔や姿に見える模様が生まれやすいことは、公平のために書き添えておきたい。 現在の観瀑台周辺は整備され、多くの観光客で賑わう明るい場所である。滝の歴史に思いを馳せるとしても、それは97メートルの落水の迫力とともに、命の重さを静かに考える機会であってほしい。
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