熊本城
加藤清正が築いた天下の名城。熊本県内の一覧でこの城が「伝承地」として挙がるのは、単なる観光地ではなく、実際に多くの人が死んだ歴史の場だからである。1877年の西南戦争では開戦直前に天守が原因不明の火災で焼失し、続く籠城戦では城の内外で激しい戦闘が行われ、多数の兵が命を落とした。築城時にも人柱の言い伝えが残るなど、400年の歴史のあちこちに死の記憶が刻まれている。 語られる噂は、夜の城内で鎧武者のような人影を見た、誰もいないのに足音や馬のいななきのような音を聞いた、石垣の上に人影が立っていた、といったもの。西南戦争の激戦地だった周辺エリアで語られる話も多い。2016年の熊本地震で石垣や櫓が大きく崩れ、現在も復旧工事が続いているが、崩れた石垣の風景がまた新たな噂を呼んだ面もある。 現地は言うまでもなく熊本観光の中心で、昼間は多くの観光客で賑わう。夜間は立ち入れる範囲が限られ、ライトアップされた天守を外から眺める形になる。戦没者の慰霊碑も周辺に点在しており、歴史の重みを知ったうえで歩くと、この城の「伝承地」としての顔が見えてくる。
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