エピソード
全国の鹿島神社の総本社にして、東国随一の古社。祀られる武甕槌大神は武の神であり、境内の奥にある「要石」は、地中で暴れて地震を起こす大鯰の頭を押さえていると伝えられてきた。江戸の昔、水戸光圀が七日七晩掘らせても石の底に届かなかったという逸話が残り、地震を鎮める石として今も信仰を集めている。
広大な神域は昼でも薄暗い杉木立に覆われ、奥参道を歩くと空気が変わるのがわかる。語られる話は、奥参道で背後に気配を感じた、御手洗池のほとりで白い人影を見た、誰もいない森から祝詞のような声が聞こえた、といったもの。ここは心霊スポットではなく、二千年の祈りが積み重なった聖域であり、「何かがいる気がする」のはむしろ当然の場所と言うべきだろう。
参拝は日中に。鹿園の神鹿、湧水の御手洗池、そして要石と、見どころを巡れば東国の古代信仰の厚みが体感できる。