エピソード
うな丼発祥の地として知られる穏やかな沼だが、この沼は日本の河童伝承の代表地の一つである。明治から昭和にかけてこの地に暮らした画家・小川芋銭が河童の絵を数多く残したことで「河童の里」として知られるようになり、沼のほとりには河童の碑が立つ。古くから、沼で泳ぐ子どもが河童に引き込まれる、という戒めが語り継がれてきた土地である。
語られる噂は、夕暮れの水辺で子どもの姿を見たが目を離すと消えた、水面から手が出ていた、岸辺で強く引き込まれるような感覚に襲われた、といった水辺の定番形が中心だ。河童伝承の本質は水難への戒めであり、実際にこの沼は岸から急に深くなる場所があるとされる。噂と実際の危険が地続きになっている点で、河童は今も仕事をしていると言えるかもしれない。
現地は釣りと散策の穏やかな水辺で、沼越しの筑波山と夕日の景色は関東有数である。水辺に近づくときは、河童の戒めを思い出したい。