エピソード
千歳市にある日本有数の深さを誇るカルデラ湖。最大水深360メートルを超え、冬でも凍らない「不凍湖」として知られる。透明度の高い湖水と原生林に囲まれた景観は北海道屈指だが、この湖には「深すぎる湖」ゆえの噂が古くから語られてきた。水温の低い深部に沈んだものは浮かび上がらないと言われ、湖の静けさそのものが畏れの対象になってきたのである。
語られるのは、湖畔の道路で白い人影を見た、夜の湖面に人の姿が見えた、湖沿いのトンネルで異変があった、といった話。アイヌの人々がこの湖と山々を神聖視してきた土地であることも、湖の「ただならなさ」の背景にある。現地は支笏洞爺国立公園の中心で、昼間はカヌーや温泉を楽しむ観光客で賑わう。夜の湖畔道路は照明が少なく鹿の飛び出しも多いため、運転には現実的な注意が必要である。