エピソード
戦国大名・朝倉氏五代が103年にわたり栄華を誇った城下町の跡。信長との戦いに敗れた朝倉義景が自刃し、城下は三日三晩焼き払われて灰燼に帰した。一万人が暮らしたという城下町はそのまま土に埋もれ、400年後の発掘で「戦国の町が丸ごと」姿を現した、日本考古学史上の奇跡の遺跡である。
語られる噂は、夜の唐門の前で人影を見た、復原された町並で足音を聞いた、義景の墓所で気配を感じた、といったもの。一夜にして滅んだ町がそのまま眠っていたという来歴は、どんな怪談よりも雄弁である。
復原町並では戦国の町家を歩くことができ、博物館も整備された。栄華と滅亡が地層のまま保存された谷を、夕暮れ前に歩けば、四百年前の炎の匂いがどこかに残っている気がしてくる。