エピソード
奈良市郊外の山中に残る廃神社。かつて滝行や神憑りの修行が行われた民間信仰の聖地で、最盛期には多くの信者を集めたと伝えられるが、教団の衰退とともに放棄され、山中に鳥居と祠、行場の跡が朽ちるまま残された。関西の心霊スポットとして近年最も名前の挙がる場所の一つである。
語られる噂は、廃祠の前で人影を見た、防空壕跡とされる横穴で異変があった、持ち帰った物で障りがあった、といったもの。ここで注意したいのは、廃絶したとはいえこの場所が「祈りの場の跡」だということである。祠や供物を蹴散らすような振る舞いが祟りの噂を生む構図は、全国の廃神社に共通する。
山道は荒れており、夜間の立ち入りは遭難の危険もある。訪れるなら日中に、何も動かさず、何も持ち帰らず。信仰の残骸に敬意を払える者だけが行くべき場所である。