エピソード
男鹿半島の最北端、日本海に突き出た岬。緑の台地の先端に黒白の縞模様の灯台が立ち、水平線に沈む夕日の名所として知られる。男鹿といえば「なまはげ」の里であり、この地には漢の武帝とともに渡来した五匹の鬼が棲んだという鬼の伝説が古くから伝わる。岬の突端という場所は、古来「この世の果て」であり、海の向こうの異界との境目だった。
語られる噂は、夜の岬で崖の方へ歩いていく人影を見た、灯台の周辺で声を聞いた、海鳴りに混じって人の呼ぶ声がした、といったもの。日本海の荒波が打ちつける岬には海難の記憶も刻まれており、夜の岬の噂は海で亡くなった人々への畏れと結びついている。昼間は灯台に登り、海底透視船で遊べる観光地で、海鮮の食事処も並ぶ。夜は照明のない断崖の岬になるため、夕日を見送ったら引き上げるのが賢明である。