エピソード
下北半島の中央にそびえる、比叡山・高野山と並び称される日本三大霊場の一つ。硫黄の匂いが立ちこめる荒涼とした岩場は「地獄」、白砂の湖岸は「極楽浜」と呼ばれ、死者の魂が集まる山として千年以上信仰されてきた。風車がカラカラと回る賽の河原には、亡き子を想う親たちが積んだ石が無数に並び、ここが今も現役の「祈りの場」であることを物語る。
心霊スポットという言葉はこの山にはそぐわない。むしろ「死者に会える山」として、大祭の際にはイタコの口寄せを求める人々が列を作ってきた。夜の山内で人影を見た、風車が風もないのに回っていた、といった話は語られるが、地元の人々にとってそれは怪異ではなく「そういう場所」なのである。参拝は開山期間の日中のみ。温泉が湧く境内で身を清め、死者を悼む山であることへの敬意を持って歩きたい。